← 一覧へエピソード
Title
ヒューストンからメキシコシティへ、最後に残った一枚の書類
Subtitle
米国の死亡証明書が、メキシコの遺族の保険と相続手続きにたどり着くまで
Introduction
「家族が悲しみを抱える中で、せめて書類だけはその重荷を増やさないようにしたかった」
Content
ヒューストンの建設会社で、メキシコ出身の従業員が突然亡くなった。葬儀のサポートと最終給与の手続きを担当した人事担当のエミリーは、メキシコにいる遺族が現地の保険と相続手続きのために米国の死亡証明書を必要としていることを知った。
病院が発行した書類と、郡が発行する公式な死亡証明書は同じものではなかった。エミリーは誰が正式な写しを請求できるのか、メキシコへの提出にはどの州のアポスティーユが必要か、スペイン語訳をどの段階で加えるべきかを、一つずつ見極めなければならなかった。
社内にはこの分野に詳しい人がいなかった。エミリーは複数の機関の案内を読み込んだが、最も気がかりだったのは、悲しみの中にいる家族に同じ情報を何度も聞き直させてしまうことだった。どこか一つが遅れれば、保険金の支払いも、未払い賃金も、相続手続きも一斉に止まりかねなかった。
Apostille Koreaはまず、亡くなった場所、発行機関、そして誰に正式な請求権があるかを確認した。病院の証明書ではなく郡発行の正式な写しを基に、テキサス州のアポスティーユとメキシコ提出用の翻訳を順番に進めた。
チームは会社が用意すべき書類と家族が用意すべき書類を分け、機微な個人情報が必要以上にやり取りされないよう手続きを簡素化した。連絡は短く明確に保ち、家族が同じ事情を二度説明せずに済むようにした。
完成した書類がメキシコに届くと、保険と相続の手続きは前へ進み始めた。会社側も、未払いの補償や家族への支援を正規の手続きを通じて進めることができた。
エミリーが語ったのは、家族も会社も最も対応しづらい瞬間に、正確さと本物の気遣いを伴った案内があったということだった。Apostille Koreaが担ったのは悲しみを消すことではなく、家族が一人で抱え込まずに済む重荷を、静かに一つ取り除くことだった。
